宮城県認知症疾患医療センターについて

平成23年6月1日より宮城県の指定では初めての『宮城県認知症疾患医療センター』が三峰病院内に開設されました。当センターは、認知症鑑別診断、各種相談、地域連携などの役割があります。認知症の人とご家族が“その人らしく”安心して暮らすことができるように、認知症の専門医・認知症ケア専門士・精神保健福祉士・臨床心理士・看護師などの専門スタッフがお手伝いしていきます。

認知症鑑別診断

  1. 電話受付・予約
    ご家族のみ、ご本人と一緒に相談・受診できる日程を電話にて予約します。
  2. 認知症診察前相談
    診察前に症状の経過や現在対応に困っている症状など時間をかけて詳しく伺います。また、専門医の診察日程を予約します。
  3. 専門医の診察
    1. バイタルチェック・問診
    2. 症状に合わせた神経心理学的検査
      認知機能を調べるために簡単な質問や作業をします。
    3. 専門医による診察
    4. 血液検査
      認知症の原因となる身体疾患の有無について調べます。
    5. CT・MRI
      脳の萎縮、梗塞、腫瘍などの有無を調べるために脳の写真を撮ります。
  4. 認知症鑑別診断
    検査結果には時間がかかりますので、再度受診する日程を予約します。
    1. 検査結果を基に専門医が鑑別診断します。また、今後の治療方針やケアの方針を決定します。
    2. 適切な医療が受けられるように継続的なサポートをします。

認知症専門相談

  1. 認知症の人への接し方やBPSDの対応などのアドバイスをします。
  2. 介護保険などサービスを利用するまでのお手伝いをします。
  3. ご本人やご家族が抱える様々な不安や葛藤、悩みなど相談に応じます。
  4. ご本人やご家族が安心して暮らすことができるように関係職種と連携を図ります。
  5. 入院治療の相談に応じます。
  6. 困難事例への相談に応じます。
まずはお電話下さい

宮城県認知症疾患医療センター相談窓口
TEL.0226-23-1211

※月曜日〜金曜日 8:30〜16:30(土・日・祝日休み)
※秘密は守られます。お気軽にご相談ください。

地域連携の強化

  1. 行政・医療・福祉とのネットワークを構築します。
  2. 地域住民・専門職種・かかりつけ医などに向けた専門研修会を実施し、認知症に関する専門性を高めます。
  3. 介護との連携を図ります。
  4. 認知症の人と家族の会と連携を図ります。
  5. 認知症に関する情報を発信して普及啓発活動に協力します。

認知症について

認知症の理解

認知症発症のリスクファクター(危険因子)は加齢です。年齢と共に発症率が高くなっていく脳の病気です。平均寿命が世界でトップクラスのわが国では、今後認知症の人が増えていくと考えられています。
厚生労働省の調査では65歳以上の高齢者のうち、認知症の人は推計15%で、2012年時点で約462万人に上ることがわかりました(7人に1人が認知症となります)。
さらに軽度認知障害(MCI)と呼ばれる認知症の『予備軍』が約400万人いることもわかっており、65歳以上の方の4人に1人の割合で認知症とその『予備軍』となる計算になります。よって認知症は“他人事”ではなく『誰もが発症する身近な病気』なのです。
認知症の原因となる病気は多くの種類があります。病気によっては治療法が確立されているものもありますが、まだ根本的な治療法は開発されていない病気もたくさんあります。しかし、認知症の原因となる病気の特徴やそれによって引き起こされるさまざまな障害(BPSD)の特徴を正しく理解することで、ひとりひとりに合った治療やケアの計画ができるようになります。
三峰病院認知症疾患医療センターでは、認知症に関した専門医、認知症ケア専門士、精神保健福祉士、臨床心理士、看護師などの専門スタッフが、認知症の人とご家族が“その人らしく”安心して暮らすことができるように、さまざまなお手伝いをさせて頂きます。
認知症は早期発見・早期治療が重要です。お気軽にご相談ください。

認知症ってなに?

認知症は、“歳のせいによるもの忘れ”と思われがちですが、脳や身体の疾患を原因として、記憶や判断力などのいろいろな認知機能が低下して、日常生活に支障が生じてしまう病気です。原因となる病気は数多くあり、症状や経過、治療にも差があります。認知症の初期には「様子がおかしい…」「何か変だ…」と自分で気づくことがありますが、症状が進行すると自分で気づかなくなることが多いので、周囲の人達が気づいてあげて、専門医療機関の受診を勧めることがとても重要となります。また、初期に現れる症状は『もの忘れ』ばかりとは限りません。不安や落ち着きのなさ、気分の落ち込み、やる気が出ない、体の不調、性格変化などからはじまる場合もあります。

認知症の症状

認知症の症状は、中核症状とBPSD(行動・心理学的症状)とに分けられます。中核症状は認知症の原因となる脳の病気によって直接引き起こされる症状(認知機能障害)です。 BPSDは脳の機能障害とともに、環境や人間関係、健康状態など様々な心理的・社会的要因が絡み合って表れる行動・心理学的症状です。

中核症状(認知機能の障害)
近時記憶障害
少し前の出来事をすべて忘れてしまう。
見当識障害
時間・場所・人物が不確か、わからなくなってしまう。
遂行機能障害
段取り、計画を立てて行動が出来なくなってしまう。
視空間障害
方向・距離・位置関係など空間の感覚が混乱してしまう。
失語
物の名前が出てこない、質問や会話の内容が理解できない。
失行
服の着方がわからない、道具がうまく使えない。
失認
人の顔がわからなくなる、物の用途がわからなくなる。
BPSD(行動・心理学的症状)
妄想
「物を盗られた」「家の中に誰か入ってきた」などと言う。
幻覚
実際にないものが見える、いない人の声や音が聞こえる。
抑うつ
気持ちが沈み込んでいる、物事を悲観的に捉える。
意欲低下
元気が出ない、億劫がる、興味や関心がない。
不安・イライラ
くよくよ心配が多い、落ち着かない、イライラする。
興奮・暴言・暴力
大声をあげる、怒って罵ったりする、叩く。
食行動異常
食事を拒む、食べたがらない、何でも食べようとする。
睡眠障害
夜いつまでも寝ない、夜中に起きてくる、昼夜逆転する。
徘徊
あちらこちらを歩き回る、夜中でも外に出て行こうとする。
介護拒否
排泄・入浴・着替えなどの介助を嫌がったり、手をあげたりする。

認知症の種類

認知症は原因となる疾患によって多くの種類にわけられ、以下のような病気が認知症の原因になります。

神経変性疾患 アルツハイマー型認知症・前頭側頭型認知症・レビー小体型認知症など
脳血管障害 血管性認知症(脳梗塞・脳出血などによる認知症)
頭部外傷 慢性硬膜下血腫・頭部外傷後遺症など
脳腫瘍 髄膜腫・癌の脳転移など
感染性疾患 脳炎・髄膜炎など
内分泌や代謝疾患 甲状腺機能低下症・肝性脳症など
中毒性疾患 アルコール性認知症・一酸化炭素中毒・薬物中毒など
その他 正常圧水頭症など

認知症の治療とケア

認知症は『早期発見』『早期治療』が重要です。認知症の原因となっている病気の性質や障害の程度によって治療・ケアの方法は違います。早い段階に病気の性質を知り、ひとりひとりに合った治療を開始することで、認知症の進行を遅らせたり、症状を緩和したりすることができます。

  • もの忘れが多く、すぐに忘れてしまうようになった。
  • 同じ話を何度も言うようになった。
  • 時間・場所・人物がわからなくなった。
  • 気持ちが落ち込み、元気がなくなった。
  • 暴言を吐いたり、暴力を振るったりするようになった。
  • 優しい人だったのに、怒りっぽくなった。
  • 介護を嫌がってしまう。
  • 物を盗まれた、意地悪されたなどの妄想を言うようになった。
  • いない人が見えたり、声が聞こえたりするようになった。
  • 落ち着かず、夜中に外に出てしまうようになった。
  • 夜に眠らないで騒ぐようになった。
  • 不潔な行為をするようになった。

・・・などの症状により、不安や混乱されているご家族は、早めにご相談することをお勧め致します。

薬による治療

アルツハイマー型認知症には、塩酸ドネペジルというお薬が使われます。薬の治療によって、アルツハイマー病そのものが治るわけではありませんが、記憶障害などの病気の進行を遅らせる効果があります。
血管性認知症では、脳血管障害の再発を予防することが重要です。脳梗塞が原因で起こる認知症では、血栓ができるのを予防するお薬や血圧を安定させるお薬などを使用します。
その他、病気の性質や障害によってお薬の治療方法が異なりますので、専門医に相談してみましょう。
※お薬の管理は認知症が軽度の場合であっても一般的に難しいものですので、介護する方が管理するか、服薬の状況を見守ってあげてください。

認知症のケア

認知症のケアには、心理的なケア・身体的なケア・環境的なケアがあります。
ケアに際しては、認知症についての基本的な知識を持ち、その人の状態、その人らしさを理解して、受け入れて、尊重することが最も重要です。その上で、生活環境の整備・不安・ストレスの軽減などを考えていく必要があります。

インフォメーション

安心した生活をおくるために…

介護する人自身も身体的・精神的に落ち着いた生活が送れるように、一人で抱え込まず、相談者を見つけたり、介護保険などのサービスを使ったりして、認知症の方、介護するご家族の方がともに笑顔で暮らせるように工夫をしましょう。

お問い合わせ・ご予約・相談窓口

宮城県認知症疾患医療センター
TEL.0226-23-1211
〒988-0141 宮城県気仙沼市松崎柳沢216-5
E-mail:n-center@ever.ocn.ne.jp
月曜日〜金曜日 8:30〜16:30(土・日・祝日休み)

※専門医の診察・各種相談は予約が必要です。
※電話予約(相談)は月曜日〜金曜日 8:30〜16:30(土・日・祝日休み)
※秘密は守られます。お気軽にご相談ください。